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【速報!獣医師監修】SFTSって知ってる?マダニから愛犬・愛猫を守るために

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SFTS、マダニ

梅雨もあけ、お散歩やアウトドアが楽しい時期になりましたね!しかし、この時期特に気をつけたいのが「マダニ」の存在です。
今回は、マダニが媒介する恐ろしい病気「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」について、飼い主の皆さんにぜひ知っておいていただきたい情報と、ここ最近の感染事例についてもお伝えします。

もくじ
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)ってどんな病気?
なぜ飼い主さんに知ってほしいの?
【重要!】最近のSFTS感染事例について
マダニはどこにいるの?
愛犬・愛猫をマダニから守るためにできること
もしかしてSFTSかも?と思ったら
最後に

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)ってどんな病気?

SFTSは、SFTSウイルスによって引き起こされる人獣共通感染症です。

このウイルスは、エンベロープという膜に覆われていて、消毒薬などで比較的簡単に失活させることができます。

主にマダニに咬まれることで感染し、発熱や消化器症状(食欲不振、嘔吐、下痢など)、血小板の減少といった症状が見られます。

なぜ飼い主さんに知ってほしいの?

人にも感染する可能性:

SFTSは、犬や猫だけでなく、人間にも感染する可能性があります。ウイルスを持ったマダニに咬まれることで感染しますが、SFTSを発症した動物(特に猫)の血液や体液に触れることで感染する事例も複数報告されています。
重症化する可能性:

SFTSは、重症化すると命に関わることもある非常に危険な病気です。特に高齢者や基礎疾患のある方は注意が必要です。
愛犬・愛猫も感染する:

SFTSウイルスは犬や猫にも感染し、発症する可能性があります。犬や猫が感染すると、元気消失、食欲不振、発熱、嘔吐、下痢などの症状が見られます。特に猫での致死率は60%~70%と非常に高いことが知られています。犬でも約30%の致死率が報告されています。


【重要!】最近のSFTS感染事例について

残念ながら、今年に入ってからもSFTSに関する痛ましいニュースが報告されています。
関東地方で飼い猫のSFTS感染が初確認:

先月、茨城県内で飼われていた猫がSFTSに感染し、亡くなった事例が報告されました。この猫は室内飼いでしたが、一時的に屋外に脱走した際にマダニに寄生されたとみられています。関東地方でペットの感染が確認されたのは初めてのことであり、地域に関わらず注意が必要であることが改めて示されました。
感染した猫を治療した獣医師の死亡事例:

三重県では、SFTSに感染した猫の治療にあたっていた獣医師が、その後SFTSを発症し、亡くなったという事例も報告されています。これは、感染した動物から人への感染の危険性があることを強く示唆しています。
全国各地で人の死亡事例も報告:

この6月に入っても、愛知県や静岡県などでSFTSによる人の死亡事例が複数報告されており、マダニの活動が活発な時期であることを実感させられます。
これらのニュースは、SFTSが身近な危険として存在すること、そして愛するペットだけでなく、私たち人間にも感染のリスクがあることを教えてくれています。


マダニはどこにいるの?

マダニは、草むらや森林、畑、公園など、自然が多い場所に生息しています。特に、これからの暖かい季節は活動が活発になります。
「うちの子は室内飼いだから大丈夫」と思っていませんか?実は、お散歩やドッグランだけでなく、庭やベランダの草木にも潜んでいることがあります。

また、人間がマダニを家に持ち込んでしまう可能性もゼロではありません。

先述の関東での猫の事例のように、室内飼育の動物でも屋外への短時間の脱走でマダニに感染してしまうリスクがあります。


愛犬・愛猫をマダニから守るためにできること

大切な家族である愛犬・愛猫をSFTS、そしてマダニから守るために、以下の対策を徹底しましょう。
予防薬の定期的な投与:
マダニの予防薬は、動物病院で処方される内服薬やスポットタイプなど、様々な種類があります。

※ドラッグストアなど市販のお薬やインターネットで購入できるお薬もありますが、効果が薄いことがありますのでご注意ください!

定期的に投与することで、マダニの寄生を防ぎ、SFTSを含むマダニ媒介性疾患のリスクを大幅に減らすことができます。

獣医師と相談し、その子に合った予防薬を選び、忘れずに投与しましょう。

特に、お外に出る機会がある子はもちろん、ベランダや庭に出る子、お散歩に行く子の場合は、必ず予防をしてください。

お散歩後のチェック:
お散歩から帰ったら、必ず愛犬・愛猫の体をすみずみまでチェックしましょう。

特に、耳の裏、首回り、足の付け根、指の間、お腹、しっぽの付け根などはマダニがつきやすい場所です。

小さな黒い点や、いびつな形のできものを見つけたら、マダニかもしれません。

マダニは、皮膚に口器をしっかりと突き刺し、数日~長いもので10日間以上も吸血を続けることがあります。

SFTSウイルスは、マダニが吸血を開始してすぐに伝播されるわけではなく、ある程度の吸血時間(一般的に数時間から24時間以上)を経てウイルスが宿主の体内に注入されると考えられています。

SFTSが人に発症するまでの潜伏期間はマダニに咬まれてから6日~2週間程度とされています。
このことから、吸血中のマダニを早期に発見し、速やかに除去することが、SFTSウイルス感染のリスクを大幅に低減するために非常に重要です。

毎日のチェックを習慣にしましょう。

もしマダニを見つけたら…
自分で無理に取ろうとしないでください!マダニの体の一部が皮膚の中に残り、炎症や感染を引き起こす可能性があります。

また、無理に取ろうとすることで、マダニがウイルスを注入してしまう可能性も考えられます。

すぐに動物病院で適切な処置を受けましょう。

草むらへの立ち入りを避ける:
お散歩中は、できるだけ草むらや藪の中には入らないようにしましょう。
定期的なブラッシング:
ブラッシングをすることで、体に付着したマダニを早期に発見できる可能性があります。
生活環境の整備:
庭がある場合は、草を短く刈り、落ち葉などを除去してマダニが隠れる場所を減らしましょう。


もしかしてSFTSかも?と思ったら

愛犬・愛猫に以下のような症状が見られたら、すぐに動物病院を受診してください。
〇元気がない、食欲がない
〇ぐったりしている
〇発熱している
〇嘔吐や下痢をしている
〇体にマダニがついていた、またはついていた可能性がある
SFTSは早期発見・早期治療が非常に重要です。もし、SFTSに感染した可能性のある動物を看病する際は、手袋などの着用により、血液や体液に直接触れないよう十分ご注意ください。

最後に

SFTSは恐ろしい病気ですが、適切な予防と早期の対処でリスクを減らすことができます。

最近の事例からも分かるように、マダニは決して他人事ではありません。大切な家族と健康に過ごすために、マダニ対策をしっかり行いましょう。
ご不明な点や不安なことがありましたら、いつでもお気軽にひがし動物病院にご相談ください。

その子に合わせたマダニ対策や予防薬をご提案します。


ひがし動物病院

🏥大阪府堺市東区日置荘北町3-11-37

📞072-247-5922